【2026年版】ドローン点検の基礎|橋・外壁の点検で使われる制度と点検飛行に必要な許可・承認

橋や建物の外壁、太陽光パネルなどの点検にドローンを使う場面が増えています。ただし、「ドローンで撮影すれば点検になる」わけではありません。

点検そのものの決まり(道路や建築の制度)と、飛ばすための決まり(航空法)の両方を満たす必要があります。

この記事では、この2つを分けて整理します。点検の費用の相場は、対象や条件で差が大きく、信頼できるデータを確認できなかったため載せていません。

 

ドローンが使われている点検と、もとになる制度

点検の対象 制度での扱い
道路の橋 道路橋定期点検要領(令和6年3月)で、点検は5年に1回が基本。状態の把握は「近接目視、または近接目視による場合と同等の評価が行える他の方法」で行うとされている
建物の外壁(タイルなど) 建築基準法の定期報告制度で、令和4年1月の告示改正により、打診と同等以上の精度を持つ、無人航空機による赤外線調査が調査方法として明確にされた
太陽光パネル・鉄塔など 設備の種類ごとに基準が異なる。発注者の仕様を確認する

 

道路橋:国が「点検支援技術」をカタログにまとめている

国土交通省は、点検に使える技術の性能をまとめた「点検支援技術性能カタログ」を公開しています。2026年4月1日の拡充で、掲載は407技術になりました(画像計測・非破壊検査・計測モニタリングなど)。国が管理する国道の点検では、令和4年度から橋とトンネルで、点検支援技術を使うことが原則になっています。

 

建物の外壁:赤外線調査のガイドラインがある

国土交通省のページでは、「定期報告制度における赤外線調査(無人航空機による赤外線調査を含む)による外壁調査ガイドライン」が公開されています。ドローンで外壁を調べるときの手順や、精度を確かめる方法がまとめられています。

写真を撮るだけでは点検にならない

道路橋定期点検要領では、点検は「健全性の診断の区分を適切に行うために必要な知識と技能を有する者による体制」で行うとされています。ドローンは状態を把握するための道具で、診断をするのは知識と技能のある技術者です。

 

点検の飛行でかかわる航空法のルール

点検では、建物や構造物の近くを飛ばすため、国の許可・承認が必要な「特定飛行」にあたりやすくなります。

点検でよくある場面 あてはまるルール
市街地にある建物や橋を点検する 人口集中地区(DID)の上空
隣の建物・電柱・電線・車・通行人に近づく 人または物件から30m未満
橋の裏側や建物の陰で、機体が直接見えなくなる 目視外飛行
高い鉄塔や煙突を点検する 地表から150m以上の空域
日没後に点検する 夜間飛行

 

それぞれの手続きは、許可・承認・通報の違いで解説しています。

 

よくある迷いポイント:「点検する建物そのものも、30mルールの『物件』になる?」

国土交通省の通達では、30mルールの「物件」は、飛行の関係者以外が所有・管理するものとされています。点検を依頼した所有者・管理者が飛行に関与している場合、その建物自体は対象になりません。ただし、隣の建物、電柱、電線、通行する車や人は対象です。点検の現場では、これらが30m以内にあることがほとんどなので、承認を取っておくのが現実的です。

 

知っておきたい2つの特例(令和3年9月24日から)

特例 内容
係留した飛行 十分な強度のあるひもなど(長さ30m以内)で機体をつなぎ、飛行できる範囲に第三者が入らないよう管理すると、DID上空・夜間・目視外・30m未満・物件投下の許可・承認が不要になる
高い構造物のすぐ近く 地表から150m以上でも、構造物から30m以内の空域は、150m以上の飛行禁止空域から除かれる(DID上空など、ほかの許可・承認は別に必要)

空港周辺の空域など、この特例の対象にならないルールもあります。

 

屋内・トンネルの中は航空法の対象外

国土交通省の通達では、航空法のルールは屋内の飛行には適用されないとされています。屋内にあたるのは、次のような場所です。

  • トンネルの内部、地下道の内部、窓や扉の開いた建物など、内部と外部がはっきり区別された空間
  • 機体より目の細かいネットや金網で囲まれ、外に出ないようにした空間

屋内でも、施設の管理者の許可や、周りの人への安全対策は必要です。

 

点検の仕事で必要な手続きと準備

項目 内容
機体登録・リモートID 100g以上の機体は必須(DIPS2.0で機体登録をする手順)
飛行の許可・承認 業務なら、期間と範囲をまとめた包括申請を使える。申請は飛行開始予定日の少なくとも10開庁日前まで(包括申請の注意点)
飛行計画の通報・飛行日誌 特定飛行のたびに必要(飛行計画の通報の手順)
保険 業務を対象にした賠償責任保険(ドローン保険の選び方)
国家資格(技能証明) 必須ではない。2025年12月18日から、民間資格による申請書類の省略は廃止された(国家資格の種類)
点検・診断の資格 対象の制度ごとに決まりが異なる。発注者の仕様と、それぞれの制度の要件を確認する

 

仕事として始めるときの考え方

  • 飛ばす技術と、点検の知識は別のものです。橋なら土木、外壁なら建築、太陽光なら電気の知識を持つ人が診断をします。
  • 操縦を担当する形で関わるなら、点検会社・建設コンサルタント・設備管理会社と組むのが現実的です。
  • 機材は、発注者が求める精度と成果物の形を確認してから選びます。先に買うと、仕様に合わないことがあります。

ドローンを使った仕事の全体像はドローン副業の始め方、測量はドローン測量の仕事の始め方をご覧ください。

 

よくある質問

Q. 自分の家の屋根を、自分のドローンで点検してもいいですか?

自分の敷地でも、住所が人口集中地区(DID)にあれば許可が必要です。隣の家や電線まで30m未満になる場合は、承認も必要です。飛ばす前にDID地区の調べ方で確認してください。

Q. 小型の空撮用ドローンでも点検に使えますか?

写真を撮ること自体は可能です。ただし、制度にもとづく点検として認められるかは、求められる精度と発注者の仕様によります。道路橋では、国の点検支援技術性能カタログに載っている技術が参考にされます。

Q. 係留すれば、どこでも許可なしで飛ばせますか?

いいえ。係留で不要になるのは、DID上空・夜間・目視外・30m未満・物件投下の許可・承認です。空港周辺の空域などは対象外で、第三者が入らないようにする管理も必要です。

 

参照元一覧

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